個人経営の飲食店・小売店でもできる!NFCタグを使ってスマートにアプリダウンロードをしてもらう方法
スマホをかざすだけでアプリダウンロードを促進できる
はじめに
モバイルアプリを作ってみたものの、ダウンロードがなかなかしてもらえず普及しないということがあります。
飲食店などでよくあるケースとしては、レジ横にお店のホームページのURLやアプリの存在をお知らせする名刺サイズのカードを置いておくケースです。
しかし、レジ横にあるということは、会計時にはじめて目にする可能性が高く、目にする時間も短く、そのカードに有益な情報があるのかも分かりません。
アプリを新規インストールすると、次回使えるクーポンがもらえるというようなお得な情報があったとしても、それを知ってもらえずに終わる可能性があるのです。
小売店であれば、チラシを商品と一緒に入れておくこともできますが、できればそのお店への関心が一番高いその場にいるときにダウンロードまでしてもらえるのがベストです。
そこでより手軽でスマートにアプリインストールを促す方法があります。
それがNFCタグの活用です。
ポイント
- NFCタグが安価で調達可能(1つあたり150円程度)
- 1つのNFCタグで、iOSとAndroid両方に対応
- Suicaのような非接触のスマホタッチだけでOK
解説
NFCタグとは
NFCとはNear Field Communicationの略で近距離無線通信を意味します。
Suicaをはじめとした交通系ICカードや、イオンのWAONやセブン&ホールディングスのnanacoのような各種電子マネーカードと同じ仕組みです。
すでにスマホをSuica(Felica)や、iDなどの電子マネー支払いで利用している人もいると思います。
他にICタグやRFIDなどと呼ばれることがありますが、技術的には同じです。
電気ではなく磁気を使用した非接触の仕組みであり、気軽にピッとワンタッチで情報の送受信が行えることが特長です。
今回はお店のアプリインストールを促すため、そのNFCタグにiPhoneとAndroidそれぞれのアプリストアへ飛ばす機能を埋め込んでおきます。そして、ユーザーは自ら検索することなく、そのNFCタグにスマホをかざして、スムーズにアプリインストールまですることができます。
NFCタグはAmazonなどで気軽に買うことができます。
もっと安価なものありますが、上記の商品であれば、2cmちょっとの円形の500円玉とほぼ同じサイズのシールになっており、10枚1500円程度(1つあたり150円程度)で手に入れることができます。
磁気のため、電池の入れ替えも不要のため追加コストがかかりません。
寿命については商品紹介では説明がありませんが、一般的にだいたい10年くらいは持つようです。
対応機種については、iPhoneは、iPhone7以降に搭載されているため、普及率も高いです。
Androidは対応・非対応がさまざまですが、主要な上位機種には搭載されているものが多いようです。
iOS/Android両方共通のURLをつくる方法
スマホをかざしてアプリインストールを促すため、実際にNFCタグに埋め込むものはURLです。
「https://tech.naturalmindo.com」のようなテキストデータをNFCタグに書き込むことになります。
ですので、お店のホームページにアクセスして欲しいだけであれば、ホームページのURLを書き込めば実現できます。
iPhoneのストア(AppStore)であれば、https://apps.apple.com/app/idxxxのようなURLになりますし、Androidのストア(GooglePlay)であれば、https://play.google.com/store/apps/details?id=xxxのようなURLになります。
しかし、このままですとURLが2種類になってしまうため、URLに仕掛けが必要になります。
共通のURLを作成する方法はいくつかあるようですが、ここではFirebaseのDynamicLinks(ダイナミックリンク)を利用した活用例を紹介します。
Firebaseとは、Google製のモバイルアプリ向けに最適化されたプラットフォームです。アナリティクスやプッシュ通知などモバイルアプリに役立つサーバーサイドの機能が充実されており、無料で使用することができます。
すでにアプリに組み込まれている可能性もあるため、開発者に確認してみてもよいでしょう。
https://firebase.google.com/docs/dynamic-links?hl=ja
以下の画面のように、Firebaseの中のDynamic Linksという機能で実現できます。
細かい部分は割愛しますが、例えば、「https://store.page.link/app」 というような共通化されたURLが作成できたとします。
これは実は短縮URLで、実態はもっと長いURLになっています。
中身を紐解くと、以下のようなURLになっています。
https://store.page.link/app/?link=<お店のHPのURL>&apn=<AppStoreのURL>&ibi=<GooglePlayのURL>
このURLから、アクセスした端末に合わせて自動的にそれぞれのアプリストアに移動させる仕組みです。
なお、上記はスマホ以外からアクセスした場合にはお店のHPに移動するような仕組みになっています。
ダイナミックリンクを使用すると、アプリストアへの移動だけでなく、アプリが既にインストール済みだった場合にも、アプリを起動して任意の画面に移動させるなど制御を拡張することも可能になります。
例えば、アプリが既に入っていれば、直接クーポン表示するページが開くなどの機能も、上記1つのURLに含めることができます。
NFCタグに埋め込む方法
NFC対応のスマホがあれば、直接NFCタグに書き込むことができます。
上記の商品であれば、専用アプリがあり簡単に書き込むことができます。
作成したダイナミックリンクURLをブラウザ遷移するURLテキストとして入力して、書き込むだけです。
書き込んだデータは、修正することが可能ですし、読み取り専用としてロックすることもできます。
したがってホームページのURLが変わった場合でも書き換えることができますし、ユーザーに書き換えられるようないたずらを防ぐこともできます。
NFCタッチからアプリストアへ
以下動画のとおり、アップルロゴの真ん中に貼られた1つのNFCタグに対し、スマホをタッチすることでiOS/Androidそれぞれのアプリストアに移動していることが分かります。
まとめ
NFC活用のデメリットは、まだ認知度が低いことです。
Androidユーザーは、今手持ちのデバイスがNFCを搭載しているのか分かっていない可能性があります。搭載されていたとしても有効になっているのか、無効だったとしたら有効にするにはどうすればよいのか分からない可能性もあります。
iPhoneユーザーも、NFCリーダーをどのように起動するのか分からない可能性があります。
飲食店のレジ前に、名刺サイズのカード同様にNFCタグを置いたとしても、NFCの使い方にもたつく可能性が高いです。
したがって、飲食店の場合はテーブル毎にNFCタグを備え付けておくことをおすすめします。
すでにテーブル毎に三角柱の卓上ポップを備え付けているお店もあります。
ポップでアプリのPRをしているお店もあるとは思いますが、NFCタグを付け加えるとさらなる効果が期待できます。
出来上がりを待つまでの時間、NFCに興味を持ったり、既に存在を知っている人は、意欲的に動いてくれるからです。例えば友人や恋人などとの会食で、ITに関心の強い人や詳しい人がいれば、認知度のまだまだ低いNFCに食いついてくれたり、知識を披露しようとしてアプリをダウンロードしてくれる可能性が高いからです。
なお、上記のFirebaseの例で作成した共通のURLができてしまえば、QRコードでも実現は可能です。
NFCに比べるとQRコードの方が認知度が高いので、QRコードでも効果は見込めるでしょう。
しかしQRコードと比較してNFCのメリットも以下のとおりいくつかあります。
- カメラ起動とピント合わせが不要
- 汚れや破れなどによる読み取りエラーがない
- 印刷されたQRコードと違い修正(書き換え)が可能
そして、NFC技術への意欲により、実際に試してくれることへの期待値が上がります。
電池交換の心配もなく、一度作ってしまえばメンテナンスがほとんど不要であることもポイントです。
- アプリへのPRができていない
- アプリへのPRはしているが、ユーザーのテキスト入力が必要(検索エンジンを使ったり、URLを直接入力したり、アプリストアを開いてキーワードを入力しなければならない)
- アプリへのPRはしているが、iOS/Android別々のURLを用意している
上記のような状態であれば、もうワンランク上のアプリダウンロード促進のため、QRコードを含め(併用して)NFCタグを活用してみてはいかがでしょうか。