ドラゴンクエスト3の世界と現実世界の照らし合わせ
ドラクエ3の世界の各地の由来・モデルとなった場所まとめ
はじめに
1988年にファミコンで発売された「ドラゴンクエストⅢ」。ドラゴンクエストシリーズの第3作目。初期の発売から35年以上経った今もリメイクされ続け、多くの人に遊ばれている不屈の名作です。
過去には、スーパーファミコン、ゲームボーイ、Wii、PlayStation4、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchなど様々なハードだけでなく、携帯(ガラケー)アプリから、iPhone、iPad、Androidなどのスマホやタブレット用にもリメイクされています。
2024年2月現在では、HD-2D版が開発中で、まだまだリメイクされ続けるドラクエ3です。
そのドラクエ3の世界が、地球の世界地図と重なっていることは有名な話ですね。
地図の位置や地名、ピラミッドや卑弥呼などストーリー中に出てくる内容から、現実の地球との関連を連想させるものも多く、楽しみの要素が増えていたのもこのドラクエ3の特長です。
そんなドラクエ3に出てくる場所は、実際現実世界でどこを表しているのか、地名の元ネタ・由来を改めてまとめておきたいと思います。
とは言え、ドラクエ3の世界地図と、現実の世界地図とでは少し歪みがあり、厳密な位置と地名が一致しないものも多くあります。
ここでは、厳密な位置からの深読みはせず(一部深読みあり)、小学生くらいの子どもでもとっつきやすいように素直な考察と、脚本・ゲームデザインをした堀井雄二氏のコメントの裏付けに基づいてまとめます。
ルーラリスト
現実には存在しない、架空のオリジナルの大陸のため該当なし(考察は後述)
現実には存在しない、架空のオリジナルの大陸のため該当なし(考察は後述)
イタリアです。イタリアの首都「ローマ」と「イタリア」を混ぜて作った名前ですね。
カザフスタンです。旧ソ連の国です。
カザフスタン(正式名称「カザフスタン共和国」)は1991年にソ連から独立してできた国のため、ドラクエ3が発売された1988年には「カザフ・ソビエト社会主義共和国」という名前でした。
ノルウェーです。
近くの森にエルフの隠れ里がありますが、エルフは北欧神話から生まれたと言われるため繋がりますね。
イラクと考えてよいと思います。
イスラム圏での共通の挨拶「アッサラーム・アレイクム」に由来していると思われるため、中東・イスラム圏をまとめた名前という説が濃厚ですが、イラクの首都「バグダッド」は、「マディーナト・アッ=サラーム」という別名があるため、国を1つに絞るとしたらイラクが相応しいでしょう。
エジプトです。
エジプト神話の女神「イシス」の名前が由来だと思われます。
近くにピラミッドがあることからも自然ですね。
ポルトガルです。
船がここで入手できる辺りは、大航海時代を思わせますね。
インドです。
インド内での正式名称バーラト(Bhārat)に由来しています。
町の人の話で、ガンジス川を指していると思われるセリフもあります。
また、ここで登場する黒こしょうは、大航海時代にバスコ・ダ・ガマがインドから香辛料を持ち帰った話とも繋がりますね。
中国です。
「教え」や「法」を意味する仏教用語のdharma(ダルマ)に由来している説が濃厚です。
ただし、チベット仏教の最高位である「ダライ・ラマ」の説も日本人の知名度からも捨てきれず、位置も中国の西側に位置していることから、中国の中でも、中国(チベット自治区)としておきたいと思います。
オーストラリアです。
西海岸部のLancelin(ランセリン)に由来している説が濃厚です。
日本です。
マルコ・ポーロの「東方見聞録」で「黄金の国ジパング」と呼ばれたことでも馴染みがありますね。
「卑弥呼」や、「やまたのおろち」、「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」などの日本神話に基づくストーリーもありますね。
イギリスです。
イギリス北部スコットランドの首都である「エディンバラ」が由来です。エディンバラ城が有名ですね。
ブラジルと考えてよいと思います。
名前の由来は、ポルトガル語でアマゾンを指す「Amazonas」の文字を並び替えて「Samanoza」としたものです。
広くはアマゾン川に接する南米の国々を指している可能性もありますが、特にアマゾン川に馴染みのある大国ということでブラジルが相応しいでしょう。
アメリカです。
ネイティブアメリカン(アメリカの先住民)を表すスー族が由来です。
ルーラリスト以外の地域
フランスです。
フランス北部のシャンパーニュ地方に由来します。
エジプトです。
言わずと知れたエジプトのピラミッドですね。
中国と考えてよいでしょう。
ダーマの北部に位置するため、ダーマのチベット自治区より北部の新疆(しんきょう)ウイグル自治区と見てもよさそうですが、あまり深い意味はないでしょう。
ガルナの名称は、仏教でよく使われるの言葉の「カルマ」が由来です。「カルマ」とは、「業」を意味するサンスクリット語で、自分が行った行動・態度は自分に返ってくるという意味を持ちます。
ロシアと考えてよいでしょう。
北アジアの大河であるアムール川に由来しており、位置的にロシアのハバロフスク地方辺りが当てはまります。
内陸では、ロシアと中国の国境となる川ですね。
アフリカ大陸の南、ナミビア・ボツワナ・南アフリカ辺りに位置しますが、その土地にちなんだ由来ではなさそうなので、アフリカ大陸南部としてよいと思います。
テドンの由来は、物語としても滅ぼされた村であるため、デッド(死)からだと考えられます。
オーストラリアです。
オーストラリアの中心に位置する砂漠の中にあることからも、明らかに巨大な一枚岩として有名なウルル(エアーズロック)がモデルです。
アメリカです。
OK牧場の決闘で有名な、西部開拓時代のガンマン「ワイアット・アープ」に由来しています。
そのOK牧場の決闘のあった場所が、アメリカのアリゾナ州コチセ郡トゥームストーンという町だったため、近い位置に設定されているようです。
対応する国・地名はないようです。
現実で見られない島であるため、「見ざる」と文字を並び替えて作られた名前だと思われます。
物語では、ここでガリレオ・ガリレイを思わせる人物が登場しますが、とくにちなんだ島はありません。
アメリカです。
物語では、商人を預け町が発展すると、「◯◯バーク」という町の名前がつきます。
これは、ピッツバーグやヴィックスバーグ、コロニアル・ウィリアムズバーグなど北アメリカの植民地の都市名に多い名前が由来となっていると考えられます。
グリーンランドです。
大地のほとんどが氷であることからも現実的ですね。
南極です。
南極大陸の西部(西南極)にある南極半島の北半部を指す「グレアムランド」が由来です。
アフリカ大陸の中南部に位置しますが、由来は複合的だと思われます。
大穴については、場所はかなり異なりますが、南米のギアナ高地のテーブルマウンテンにある巨大な穴が由来とされています。したがって、名称は「ギアナ」が由来でしょう。
位置については、この辺りが人類誕生の地とされていることが関係ありそうです。
最新の研究によると、現代人の先祖であるホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカの現在のボツワナ、ザンベジ川のすぐ南辺りで出現したと言われており、場所としてもほぼ一致します。
裏の世界(アレフガルド)との繋がりがあるところからも連想できますね。
ロシアです。
特にゆかりはないのですが、位置的にロシアのモスクワと考えてよいでしょう。
アリアハン大陸
アリアハン大陸は、ムー大陸をモデルにしている説が有力です。
ムー大陸とは、かつて太平洋の南中央部に存在したが天変地異により水没したとされる大陸です。しかし、複数の海底探査結果によってその存在は学術的に否定されている伝説の大陸です。
モデルにするのも自然な流れとも思えます。
しかし、アリアハンやレーベの名前については、ムー大陸に関連するような名前は見当たらず、アリアハンについては、ハワイの旧都ラハイナ(Lahaina)を並び替えたものではないかという説がありますが、レーべの方ははっきりしません。
ここでドラゴンクエストⅡから得られた着想が反映されているのではないかという別の説が出てきました。
アリアハン大陸の由来の別の説
現在、地球上にはユーラシア大陸(ヨーロッパ大陸、アジア大陸)、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、南極大陸、そしてオーストラリア大陸と6つの大陸があります。しかし、およそ2億5000万年前の地球上には、パンゲア大陸という1つの超大陸があるだけだったと言われています。
これは今からおよそ100年前に、ドイツの気象学者であり地球物理学者でもあった、アルフレッド・ウェゲナーという人物が、アフリカ大陸西側と、南米大陸東側の海岸線の形が似ていることに疑問を持ったことから、仮説を立てこの大陸移動説がでてきました。
2億年くらい前になるとこのパンゲア大陸はローレシア大陸(ローラシア大陸やローレシアン大陸ともいう)とゴンドワナ大陸にわかれ、さらに時を経て、ローレシア大陸は北アメリカやユーラシア大陸になります。一方のゴンドワナ大陸は、アフリカや南アメリカ大陸、南極大陸、オーストラリア大陸になっていきました。
ここでローレシアという名前が気になった人がいるのではないでしょうか?
そうです。ドラゴンクエストⅡの主人公である1人目の勇者がローレシアの王子ですね。
ドラクエ2のローレシアという名前は、ドラクエ1のローラ姫が由来になっているので、偶然なのですが、実はドラクエ2のシナリオができあがった後に、このローレシア大陸と同じ名前であることが分かり、着想を得てドラクエ3のアリアハン大陸につながったのではないかという説が考えられます。
その裏付けになるのではということが、このローレシア大陸を詳しく見ていくと分かります。
上記地図の北アメリカ大陸に相当する左側に「Slave」「Rae」「Hearne」という名前が見えます。
これらは、それぞれクラトンという大陸地殻のうち安定化した部分を指します。
この名前の「Slave」が「レーベ」、「Rae」+「Hearne」が「アリアハン」という名前になった説です。
「Slave」の「lave」の部分を切り出せばレーベになりますね。
「Rae」+「Hearne」を少し並び替えると「Areaherne」となりアリアハンと読めますね。
したがって、アリアハン大陸は、幻の大地ムー大陸をモデルにしつつも、ドラゴンクエストⅡからの着想を得て、ローレシア大陸から地名を取っているという説が今回の説です。
まとめ
さいごに、ドラクエⅢの地名と実際の国・地域、由来を表としてまとめておきます。