
mp3などの音楽ファイルからボーカルと曲を分離する方法
ボーカルを一部削除してインストゥルメンタル(instrumental)の音楽データを作りたい

はじめに
カラオケやバンド練習などで、オフボーカルの音源がほしい場合があります。
昔のシングルCDであれば最後のトラックにカラオケバージョンとして歌なしの曲が入っていたりしましたし、Amazon Musicなどのサブスクでもinstrumentalと調べるとボーカルなしの曲だけの音源も配信されていたりします。
しかし曲のほとんどはそのような対応がされていないため、ボーカルのない曲を作ろうと思うと自分で編集するしかありません。
ある程度の金額の音楽編集ソフトであれば、ボーカルを除去するような機能があったりもしますが、無料で簡単に実現しようとするとどうしたらよいのだろうとなりますね。
ただ最近ではアプリケーションなしのWebブラウザで完了するオンラインサービスも出てきており、無料でも十分に編集できるものも出てきています。
今回はそのようなオンラインサービスを利用して、無料で手軽にできるという音楽とボーカルの分離を試してみました。
もちろん、オンラインで手軽にできるのはよいことですが、著作権侵害に関わることや、自分のセキュリティ漏洩に関わるようなことにならないように十分注意して利用しましょう。
やりたいこと
HYの「366日」という曲において、フジテレビ系月9ドラマ「366日」の主題歌として数々の男性アーティストとコラボした「366日(Official Duet ver.)」がリリースされました。
これらの男性パートのハモリの練習のために、音楽はそのままに、女性パートを編集したくなりました。

とはいえ、この「366日」は、元々女性1人で歌っている曲ですし、音源もすでに手元にある状態です。
デュエットバージョンでも、メインパートは女性の方なので、実はそれほど難しくなさそうです。

女性1人で歌っている「366日」音源が上の波形であるとすると、今回のデュエットバージョンは2回目のAメロが男性パートに変わっただけなので、2回目のAメロ部分を除去するだけで完成します。
あとは男性は、メインの女性パートに合わせてハモるだけなので影響なしです。

ですので、手順としては以下のとおりになるかと思います。
- 音楽とボーカルを分離する
- ボーカルの一部を削除(無効化)
- 音楽と編集したボーカルを結合
366日のデュエットバージョン用の女性パートのみ音源を作る
以前であればWindowsの有料の音楽編集ソフトを持っていたので使っていたのですが、古くなってしまって使えないのと、現在はMacを使用しているため、今回はオンラインツールの「ボーカル リムーバー」を活用しました。

こちらは1日あたり10分までであれば無料ですので、J-POP1〜2曲分なら無料版で問題なさそうです。
「ファイルを選択」から、事前に用意している音楽ファイルをアップロードして音楽とボーカルを分離します。
しばらく待つと、音楽とボーカルそれぞれの波形が出てきます。

左のボリュームを操作して、分離された音楽とボーカルをそれぞれ聴くことができます。
右下の「保存」ボタンを押すと以下のようなメニューが表示されます。

必要な音源に合わせて選択しすると、音源のダウンロードができます。
今回は、音楽とボーカル両方必要とするため、「音楽+ボーカル」を選択します。
単純にカラオケ練習用などであれば音楽だけをダウンロードすれば完了です。

ダウンロードされたファイルは以下のとおりです。
audio [music].mp3
audio [vocals].mp3
環境がMacなので、Mac標準ソフトの「iMovie」を使います。

iMovieを開き、新しいプロジェクトを作成します。
先ほど分離した音楽ファイルとボーカルファイルをドラッグ&ドロップでプロジェクトに追加します。
実はそのままでは、2つの音声データを結合することはiMovieの仕様上できません。
動画+音声という構成であれば重ねることができるため、一方を動画として扱うようにします。
動画は、静止画ファイル+音声ファイルをそれぞれ取り込めば、1つの動画として扱うことができます。
適当な静止画を用意して取り込みます。
ボーカルは後ほど編集したいので、静止画+音楽データを動画として扱いたいと思います。

まず、静止画を画面下のタイムライン部分にドラッグ&ドロップして取り込みます。
同じく音楽データをタイムラインの静止画に紐づくようにドラッグ&ドロップして取り込みます。
これで、もう一つのボーカルデータも重ねて取り込むことができるようになるため、同様にボーカルデータもドラッグ&ドロップしてタイムラインに取り込みます。
すると以下のような状態になります。

ここで音楽データとボーカルデータのタイムラインがずれないように注意しましょう。
タイムラインの左端が揃っているか、再生してみてずれがないか確認しましょう。
ここから2回目のAメロ部分を編集します。

2回目のAメロ部分は、上の黄色い枠で囲まれた部分です。
開始地点にマウスカーソルを持っていって、長押し(長クリック)すると、ドラッグできるようになるため、終了地点までドラッグします。
すると上のような黄色い枠ができます。
次にこの領域のボリュームを0にします。
この領域の両端を分割して、フレーム削除する方法もありますが、それだとタイムラインのずれが発生してしまいますので、この領域だけ無音にするほうが手っ取り早いでしょう。
ここで、今度は黄色い枠の中の青っぽい横線部分にマウスカーソルを持っていきます。

マウスカーソルが上下矢印のようなアイコンに変わったら、カーソルを一番したまでドラッグして音量をなくします。
ここで完了としたいところなのですが、選択した領域によってはゴミが残ります。

そのままだとなだらかな曲線でボリュームが変わっているため、ボーカルデータの音声が少し残っているかもしれません。

この音声もきちんと消すように、左下と右下のポイント位置を動かして、なだらかさをなくします。

こちらはYouTube特有のメニューではなく、Chromeのコンテキストメニューです。
このメニューにある「動画のフレームをコピー」を選ぶと、そのとき表示されているフレームの静止画がコピーされます。「動画フレームに名前を付けて保存」を選べば、そのとおり名前を付けて保存することができます。
これで無事2回目のAメロのボーカルをオフにすることができました。
この時点で同時に結合もできている状態ですので、あとは出力するだけです。
最後に、タイムラインのずれがないか実際にタイムラインの音声を再生して最終チェックしましょう。
問題なければ、iMovieウィンドウの右上のアイコンから、「ファイルを書き出す」を選んで結合された音声データを出力しましょう。

確認画面で、フォーマットを「オーディオのみ」に変更すれば、音声データとして出力できます。
ファイルフォーマットを変更することも可能です。
今回はm4aで出力したいので、そのままAACで出力します。

まとめ
この方法で無事、個人的な男性パートのハモリ練習用の曲を作ることができました。
同様に、映画「366日」の主題歌である「恋をして」も作ってみました。
こちらは、女性ボーカルと男性ボーカルの分離ができないため、女性パートのボーカルだけ別で手配して、音楽データをベースに、女性ボーカルデータを音楽データのタイムラインに合うように切り貼りして作りました。
かなり手間が増え苦労しましたが、この方法をベースに編集することができました。
参考
YouTubeチャンネル:HY Official プレイリストより
HY - 「366日」のコラボレーションに関わる男性アーティスト
- 大橋卓弥(スキマスイッチ)
- 與那城奨(JO1)
- 川崎鷹也
- 藤牧京介(INI)
- キヨサク(MONGOL800)
- 須田景凪
- 長田庄平(チョコレートプラネット)
- オーイシマサヨシ
- 西川貴教